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2017年04月 アーカイブ

2017年04月20日

特許制度と実用新案登録制度の違いは何でしょうか。

技術的アイデアの法的保護を図る制度である点で共通するが、その仕組みが種々の点で異なる。以下、両制度の違いを表に示す。

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注1)例えば、プラスチック製品の射出成形用金型、射出成形方法のいずれも保護対象になる。
  2)プラスチック製品の射出成形用金型は保護対象になるが、射出成型方法は保護対象にはならない。
  3)出願審査請求とは、特許出願について審査を開始するための手続のことで、出願日から3年を経過するまでに出願審査請求を行わない場合には、その特許出願は取り下げられたものとみなされることになる。出願審査請求率は50%強である。
  4)新規性とは、発明が客観的に新しいことをいい、その判断基準は特許法に規定されている。
  5)進歩性とは、その道の通常の専門家(当業者)が、特許出願時の技術水準から容易に考え出すことができない程度をいう。
  6)方式的要件、基礎的要件とは、書類の形式的な要件のことで、簡単に言えば所定の書類が整っていれば、実用新案登録が認められることになる。特許出願と異なり、新規性、進歩性等の実体審査は行われないで、実用新案登録がされる。
  7)実用新案技術評価書とは、特許庁による考案内容に対する評価を示したものである。実用新案技術評価書には新規性、進歩性等に関する判断結果が記載されている。この判断結果が実用新案権者にとって有利なものでなければ、実際には権利行使は難しいことになる。

意匠登録制度とはどのようなものでしょうか。

意匠登録制度の概要は次の通りである。

 (保護対象)
 意匠すなわち、工業製品などのために創作された物品のデザインであり、物品を離れたデザインは保護対象でない。物品とは、流通性のある有体物たる動産である。従って、建築物、打ち上げられた花火は意匠法上の意匠ではなく、保護対象にはならない。物品の部分に係る意匠は部分意匠として保護対象になる。例えば、コーヒーカップの持ち手部分、自動車のフロントグリルは部分意匠として保護対象になり得る。

 (存続期間)
 登録日から20年である。特許権等は出願日を起算点としているが、意匠権の起算点は登録日である。

 (審査)
 特許制度のような出願審査請求制度はなく、原則として出願すべてが審査対象になり、新規性、創作容易性等の実体審査が行われる。創作容易性とは特許制度の進歩性に対応するもので、例えば、スカイツリーの置物は創作容易な意匠であるとして拒絶されると考えられる。

 (権利行使)
 権利を侵害する者に対して損害賠償請求権、差止請求権等の権利行使をすることができる。

 一つの製品であっても、ある部分の技術的アイデアは特許として保護を図ることを選択すべきであったり、他の部分の技術的アイデアは実用新案として保護を検討すべきであったりすることがある。更にデザインの側面から意匠として保護が可能であることも少なくない。従って、自社製品の十分な法的保護を図るためには、特許制度、実用新案登録制度及び意匠登録制度を複合的に利用することが必要である。

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