産業財産権Q&A

Q35

中国の商標登録制度はどのようなものなのでしょうか。 自社製品である緑茶は日本国内で名の通ったもので、その名称を日本国内において商標登録をしていますが、この緑茶を中国へ輸出しようと考えています。中国においても商標登録した方がいいのでしょうか?

A

(1)最近、中国において日本の有名な商標や産地名などが商標登録されたという報道がなされている。確かに中国は国の規模が桁外れに大きく、商標登 録についても日本の感覚をそのまま持ち込むことはできない。商標登録出願の件数も中国では1年に100万件以上であり、世界一である。この出願件数は日本 の約10倍である。

(2)商標登録出願では中国商標局に出願書類を提出し、審査にパスしたものについて商標登録が認められる。この出願書類には出願人、商標、指定商品・役務 等を記載する必要がある。指定商品・役務は区分表に従って記載する。因みに「緑茶」は第30類「茶及び茶葉代用品」に含まれる。
 また、先願主義を採用しており、先に出願されたものについて優先して登録される。

(3)審査手続は、「中国商標出願の経過」に示すように、出願→審査→公告→登録で手続が進行する。
 公告後3ヶ月以内に異議申立を行うことができ、異議申立に対し出願人は答弁書を提出して反論することが可能である。そして、異議決定がされて商標登録または拒絶査定される。
 商標登録された場合の存続期間は10年で、更新が可能である。また、拒絶査定に対しては審判を請求して争うことができる。

(4)中国商標法では日本の商標法で規定されているような「先使用権」は認められていない。「先使用権」とは使用した結果として需要者の間で広く知られた 場合、他人が商標権を取得しても、商標を継続して使用できるという権利のことである。いわば商標使用によって生じる既得権といえるものだ。中国では「先使 用権」が認められていないので、日本に比べて商標登録する必要性がより高いと言えそうである。

(5)中国に商品を輸出しようとする場合は、中国において商標登録をすべきである。これは国の内外を問わず自社ブランドを守ることはビジネスの基本であり、そのための手段が商標登録だからだ。

 

 

< 中国商標出願の経過 >

中国商標出願