産業財産権Q&A

Q39

自社の商品名やシンボルマーク(図形)について商標登録をしたいと考えています。出願書類に指定商品(役務)を記載する必要があると聞きましたが、どういう意味なのでしょうか?

A

 商標登録は漠然と名称等を登録するのではなく、商標を使用する商品や役務(サービス)を指定して商標登録出願を行い、他人の商標権と抵触しない範囲において商標登録が認められる。商品(役務)の指定は第1類から第45類まである商品及び役務の区分に従って行う。商標登録出願において、どのような商品(役務)を指定するかは、極めて重要となる。商標登録されても指定商品(役務)が異なれば商標権の効力が及ばないからである。商標権は商標が同一・類似で、しかも商品(役務)が同一・類似でなければ効力が及ばない。従って、他の企業が同じ商標を使用しているにも拘らず、指定商品(役務)が異なることによって商標権を行使することができない場合がある。

 指定商品(役務)を考える場合、次のようなことを注意すべきである。

(1)商品(役務)を多方面から捉える。例えば大豆を主原料とする食品で、菓子と捉えることもできるが、穀物の加工品とも捉えることができるようなものである場合は、「第30類 菓子」と「第30類 穀物の加工品」の両方を指定することを考慮すべきである。

(2)商品と役務の両面から考えてみる。例えば雑誌を媒体として広告を行っている場合は、「第35類 広告業」だけでなく、「第16類 印刷物」も指定すべきではないかなどの検討が必要だ。

(3)複数の役務(商品)が存在していないかを確認する。例えばホテル業を営んでいる場合、「第43類 宿泊施設の提供」がメインになるが、レストランを併設していれば「第43類 飲食物の提供」も指定する必要がある。更に、ブライダルに関する業務を行っているということになると「第45類 婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供」を指定する必要がでてくる。

 どのような商品(役務)を指定するかは、商標を使用する商品(役務)や自社の業務内容などを踏まえてよく検討することが必要である。