産業財産権Q&A

Q64

当社は文房具についての特許権を所有しています。他社の商品販売サイトにおいて当社の特許権を侵害していると思われる商品を見つけました。どのように対応したらよいでしょうか。

A

(1)その商品が特許権を本当に侵害しているか否かを検討すべきである。

 商品を入手して、特許請求の範囲の請求項に記載された特許発明と比較する必要がある。商品が請求項に記載された特許発明の構成要件の全てを具備していれば、特許権侵害が成立する。

 具体例で説明する。三角定規について特許が取得されており、特許請求の範囲の請求項1に、「三角形の板状から成る本体、前記本体の縁部に設けられた長さを表す目盛りと、本体に形成された開口部とから成る三角定規。」と記載されている。この発明の効果は、「本体に開口部を形成したことで、この開口部の縁に指を掛けて持つことができるので、三角定規が扱い易い。」である。

 請求項1に記載された発明を構成要件ごとに分けると、

(A)三角形の板状から成る本体

(B)前記本体の縁部に設けられた長さを表す目盛り

(C)本体に形成された開口部

(D)三角定規

となり、他社商品が上記の構成要件(A)(B)(C)(D)の一つでも欠落しているものであれば、原則として特許権侵害は成立しないことになる。

 他社の商品を取り寄せて、請求項1と比較したところ(C)が欠落している、つまり、本体部に開口が形成されていない三角定規であった場合、(C)は上記の効果を発揮する上で必要不可欠な重要な構成要件であることから、その商品は特許権を侵害するものではないと判断される。

(2)他社商品が、上記の構成要件(A)(B)(C)(D)のすべてを具備していると判断された場合には、特許権を侵害した者に警告書を出す。特許権の効力は侵害品を製造する行為、販売する行為のいずれにも及ぶので、侵害品のメーカー、販売者のいずれも警告書を出す対象になり得る。警告書をだれに出すべきかについては、警告書を出した場合の効果等を勘案して専門家に相談の上決定すべきである。

 警告書には、特許番号、特許権を侵害している商品を特定する商品名、品番等、回答期限等を記載する。警告書に対する回答があった場合には、その内容を検討して話し合いで解決を図るか、侵害訴訟を提起するか等の方針を決めることになる。

(3)警告書を送付した場合、相手から対抗策として特許無効の審判を請求される可能性がある。特許無効の審判とは、例えば、特許出願日より前にその発明が掲載された外国の文献を示し、新規性を喪失していたこと等を主張して特許権が初めから無かったものとすることを求める手続をいう。

 警告書を出すということは、言わば拳を振り上げることを意味するので、その前に専門家とよく相談をして、十分な準備をしてから行うべきである。

 

 知って得する 特許・商標の知識 vol.37 (平成31年2月)