産業財産権Q&A

Q23

日本で商標登録を受け、日本国内でのみ販売してきた商品を輸出しようと思います。日本で商標登録を受けていれば、その登録商標をそのまま輸出した国において使用しても大丈夫なのでしょうか?

A

 日本の商標権の効力は日本国内にしか及ばないので、日本で商標登録を受けていても、外国で商標を付した商品を販売等すると、その外国で他人の商標権を侵害し てしまうおそれもある。従って、日本において商標登録されていても、その登録商標を外国でそのまま使用してもよいことにはならない。よって、輸出する国に おいて商標登録を受けることが望ましい。
 更に、商標登録出願は原則として各国ごとに行われ、その審査の基準も各国ごとに異なる。国によっては日本語の商標を「文字」としてではなく「図形」のよう に扱われることもあり、現地の言葉に翻訳した商標を出願した方がよい場合がある。また出願の際に指定する商品の概念は国ごとに異なり、その商品の指定の仕 方も異なるので、実際に輸出する商品と権利を取得する商品とが異なってしまうことがないように注意が必要だ。
 また、国によってはその国で商標を実際に使用していないと商標登録を認めない国があり、また一旦登録が認められても一定の期間内にその国おける登録商標の 使用を証明しないと商標登録が取り消されることもある。このように自国における商標の使用を強く求める考え方を使用主義といい、この使用主義をとる国とし てはアメリカ、カナダ等がある。
 自国における使用を求めないで登録する考え方を登録主義という。ただし、各国の商標法は完全な使用主義または完全な登録主義を採用しているということはなく、使用主義と登録主義とをミックスしてバランスをとったかたちで構成されている。