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2016年11月 アーカイブ

2016年11月01日

最近、キャッチフレーズが商標登録されやすくなったと聞きましたが、どういうことなのでしょうか。

平成28年4月1日に商標法の審査基準が45年ぶりに大幅に改訂されたことに伴いキャッチフレーズが登録されやすくなった。
 企業がプロモーション(商品の販売促進のための宣伝活動)を行う上で、キャッチフレーズは極めて重要なものであり、巷にはキャッチフレーズが溢れているといっても過言ではない。「元気ハツラツ」、「The Power of Dreams」、「がんばれ!ニッポン!」など、殆どの方が知っているのではないだろうか。

(1)キャッチフレーズの商標登録に関係が深いのは商標法第3条第1項第6号である。商標法第3条第1項第6号では、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」は商標登録を受けることができない旨が規定されている。すなわち、自他商品識別標識として機能することができない商標は登録を受けることができないとされている。
(2)旧審査基準において、「標語(例えば、キャッチフレーズ)は、商標法第3条第1項第6号に該当する」こととされていたが、この記載は今回の改訂によって削除された。すなわち、キャッチフレーズについて商標登録がされやすくなったということなのだ。
 新審査基準では、「出願商標(例えば、キャッチフレーズ)が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合」は、本号に該当して登録が認められず、「出願商標(例えば、キャッチフレーズ)が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等のみならず、造語等としても認識できる場合」には、本号には該当しないと判断される。
(3)なお、旧審査基準の下においても、キャッチフレーズについては商標登録が認められた例もある。前掲の「元気ハツラツ」(大塚製薬(株))、「The Power of Dreams」(本田技研工業(株))、「がんばれ! ニッポン!」(公益財団法人日本オリンピック委員会)などである。
(4)要するにキャッチフレーズは、旧審査基準の下においては自他商品識別力がないという取り扱いを原則としていたが、この原則を新審査基準では外すことにした。その結果としてキャッチフレーズについて商標登録が比較的容易に認められるようになったのである。
(5)商標法第3条第1項第6号についての審査基準改訂は、プロモーションにおいてキャッチフレーズの重要性が広く認識されているという時代を反映したもので、企業はキャッチフレーズを商標登録して自社が独占して使用できるようにし、自社商品の広告に利用することを検討すべきであると考える。

ライバル企業のカタログを見ていたところ、「PAT」「PAT.P」と記載されています。これらはどういう意味なのでしょうか。

「PAT」はPatent、すなわち特許を取得しており、特許権を侵害している者に対し法的手段をとることができる状態であることを意味する。「PAT.P」はPatent pending、すなわち特許出願中であり、まだ権利化されておらず、すぐに法的手段をとることができる状態ではないことを意味する。

(出願)
 出願とは特許庁に申請書類を提出することを言う。これで「PAT.P」ということになる。
(出願公開)
 出願から1年6ヶ月を経過すると、原則として出願された内容が公開される。
(審査請求)
 特許出願は申請書類を提出しただけでは審査されない。出願とは別に審査請求を行って、はじめて審査が行われる。審査請求は出願後、3年以内であればいつでも行うことができる。この3年間を審査請求期間といい、審査請求期間内に審査請求を行わないと、その出願は取り下げられたものとみなされる。従って、「PAT.P」ではなくなる。
 3年以内に審査請求を行う率、すなわち審査請求率は50%強で、言い換えれば50%弱の出願が審査を受けない。折角出願したのに審査を受けないのは勿体ないと思われる方もいるかもしれないが、例えば出願後3年を経過するまでに、出願対象の技術が旧式なものとなって、もはや特許取得が必要なくなることもある。また、同業他社に対するけん制だけを目的とする、すなわち「PAT.P」を表示可能にするための特許出願もあると思われる。
(特許査定)
 審査請求を受けて、審査官が出願の内容を審査し、審査にパスすると特許査定が送られてくる。そして、出願人が特許料を納付すれば特許が付与されて、「PAT.P」から「PAT」になる。
(特許異議申立)
 特許公報を見て異議がある人は特許異議申し立てをすることが可能である。
(権利満了)
 特許は特許料を納付し続ければ出願日から20年間存続するが、途中で特許料の納付を止めることもできる。例えば、特許料を10年分納付したところで止めて、特許を消滅させることも可能である。不要になった特許についてまで特許料を払い続けるのは無駄なので、保有している特許が本当に必要なものであるか否かを見直すことが必要だ。
(拒絶理由通知)
 審査の結果、特許を付与できないということになると拒絶理由通知が送られてくる。
(意見書・補正書)
 拒絶理由通知を受け取った出願人は審査官の考えに反論する意見書や出願内容を当初の範囲でやりくりする補正書を提出して反論することが可能である。意見書や補正書を読んで、審査官が考えを変えれば前記した特許査定が送られてくる。
(拒絶査定)
 意見書等を提出しても審査官の考えが変わらない場合には拒絶査定が送られてくる。この拒絶査定に不服である場合は審判の請求を行うことができる。審判で争っている間は「PAT.P」ということになる。審判で争わない場合には拒絶査定が確定し、このようになると「PAT.P」ではなくなる。

 ライバル企業の出願が「PAT.P」であるのか「PAT」であるかを正確に把握するためには専門家に相談すべきであり、素人判断は禁物である。
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