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2015年06月 アーカイブ

2015年06月29日

商標法の改正で音、色などについて商標登録が可能になったと聞きましたが、詳しい内容を教えてください。

平成27年4月1日の法改正で保護対象として追加された商標は次の5つである。

(1)動き商標 (2)ホログラム商標 (3)色彩のみからなる商標 (4)音商標 (5)位置商標
従来は、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合が商標法によって保護される対象となっていたが、上記した商標も自他商品識別標識として機能するということで保護対象に加えられた。

ところで、商標を法律まで設けて保護しているのはなぜだろうか。皆さんが日々買い物をするときのことを思い浮かべて頂きたい。例えば、デジタルカメラを買おうとしたとき、「Canon(キヤノン)」、「Nikon(ニコン)」、「CASIO(カシオ)」…という商標を目印にしないだろうか。チョコレートを買おうとしたとき、「LOTTE(ロッテ)」、「meiji(明治)」、「FUJIYA(不二家)」…という商標を目印にしないだろうか。これは商標が自他商品識別標識であり、出所表示機能、品質保証機能を発揮しているからだ。つまり、商標は自社商品と他社商品とを区別する標識であり、その結果、商品の出所(会社の所在地までは分からなくても、あの会社の商品であると分かる程度の出所)を表示する機能や、あの会社製なら安心できる品質であろうと顧客に思わせる機能を発揮している。
出所表示機能や品質保証機能をより強力に発揮できる商標ほどブランド力が強く、企業にとって役に立つことになる。ではブランド力を強くするためにはどうしたらいいのだろうか。商標に業務上の信用を化体(蓄積)させることだ。すなわち、良い商品を販売することで、それを買った顧客に、あの商品をまた買いたいと思ってもらうことだ。更に、種々の広告媒体を利用して商品を宣伝することである。
ただし、商標がないと、言わば「名無しの権兵衛」の商品となってしまい、顧客が良い商品だと思ってくれても、その顧客が次にその商品を探すときの目印がないことになる。更に、言い換えれば、商標がないということは業務上の信用を化体させるための器がないということになる。
それで、企業は商標を設けて、この商標に業務上の信用を化体させるべく努力している。一方、その商標を勝手に使う者が現れて偽物を売られたのでは、商標に業務上の信用を化体させるために頑張ってきた企業の信用を傷つけることになる。偽物は大概粗悪品なので、商標を目印に顧客が本物だと思って偽物を買った場合、顧客の利益も害されてしまう。そこで、商標法によって商標権者のみに登録商標を独占使用する権限を与えて、偽物に登録商標を使用させないようにしている。
従来の文字、図形、記号等以外でも、上記(1)~(5)は世の中で自他商品識別標識として機能しているから、商標登録により保護しようというのが、今回の商標法改正の趣旨なのだ。因みに米国等では既にこれらを対象とした商標登録が認められている。

(1) 動き商標とは、文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標のことである。
動き商標としては、20世紀フォックス社の「20th CENTURY FOX の立体にライトが照射される動画」が米国で登録されている。(米国登録第1928423号)


(2) ホログラム商標とは、文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標である。
ホログラム商標としては、American Express社のクレジットカードの中央に付されたホログラムが米国で登録されている。(米国登録第3045251号)


(3) 色彩のみからなる商標とは、単色又は複数の色彩の組合せからなる商標(これまでの図形等と色彩が結合したものではない商標)である。
色彩のみからなる商標としては、株式会社トンボ鉛筆の上から青・白・黒が米国で登録されている。(米国登録第3252941号)

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(4) 音の商標とは、音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標である。
音の商標としては、久光製薬株式会社の「ヒサミツ」の社名を乗せたメロディーが欧州で登録されている。(欧州登録第2529618号)

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(5) 位置商標とは、図形等の商標であって、商品等に付す位置が特定される商標である。
位置商標としては、PRADA社が履物のかかとに赤いラインを付した位置が欧州共同体商標(CTM)として登録されている。(CTM登録第1027747号)
位置の商標は解り難いので解説すると、赤いラインそのものはありふれた形態なので自他商品識別力を発揮し難いが、履物のかかと(位置)に付することでPRADAの商品だと顧客が認識できる、すなわち自他商品識別力を発揮し商標として機能することになる。それ故に位置の商標ということになるわけだ。

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(参考文献 「新しいタイプの商標の保護制度」 特許庁)

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