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2014年04月 アーカイブ

2014年04月08日

最近、オリンピックが話題になっています。2020年には東京でオリンピックが開催されることが決定し、最近ではロシアのソチで行われた冬季オリンピックで多くの日本人選手が活躍しました。
ところで、「オリンピック」や「OLYMPIC」は商標登録されているのでしょうか?

「オリンピック」や「OLYMPIC」は国際オリンピック委員会(IOC)や日本オリンピック委員会(JOC)によって商標登録されている。IOCやJOC以外の者が「オリンピック」「OLYMPIC」を商標登録出願した場合は商標法第4条第1項第6号の規定によって拒絶されることになっている。この規定は「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」は商標登録を認めないとするものである。この規定に該当する商標としては「オリンピック」のほか、 IOC、JOC、ボーイスカウト、 JETRO等があげられる。これらの商標を一私人に独占させることは権威尊重、国際信義の上から好ましくないので、商標登録を認めないこととした。
一方、この規定は、出願人が公益に関する団体などである場合は適用されないことになっているので、IOCやJOCは「オリンピック」や「OLYMPIC」に関する商標登録を受けているのである。このほか、IOC、JOCは五輪の図形についても商標登録を行っており、JOCは「がんばれ!ニッポン!」について商標登録している。
なお、「オリンピック」「OLYMPIC」ズバリでなくても、オリンピックを利用しようとする商標については、公序良俗に反するとされたり(商標法4条1項7号)、出所の混同を生じる可能性があるとされたり(同4条1項15号)、品質誤認を生じるおそれがあるとされたりして(同4条1項16号)、拒絶される可能性があるので注意が必要である。
ところで、東京オリンピック招致のためのプレゼンテーションの中で話題になった「おもてなし」であるが、これは、第7類「化学機械器具、風水力機械器具等」 第30類「菓子、パン」 第33類「日本酒、洋酒等」 第37類「建設工事等」などについて、一般企業によって商標登録されている。「おもてなし」は自他商品(役務)識別標識として機能する、言わば普通の商標だからだ。

当社は食品機械メーカーですが、同業のメーカーであるA社と魚の加工機について共同開発を行い、その加工機を完成させました。ところが、A社から共同開発した加工機については自社で特許出願したことを聞きました。当社でこの魚の加工機を製造、販売することについて問題が発生することはないのでしょうか。共同開発に関する契約書の類は交わしていません。

まずは、A社の特許出願の内容などを確かめる必要がある。特許出願は出願日から1年6か月を経過していれば、特許電子図書館(IPDL)で内容を見ることができる。A社の特許出願の内容が共同開発の対象となっている魚の加工機に関するものなのかを確認する。
また、その特許出願が現在どのようになっているのかを確かめる。特許出願は特許庁に書類を提出しただけでは審査されず、出願してから3年以内に出願審査請求手続をしてはじめて審査にかけられる。この出願審査請求をしないまま出願してから3年経過すると、その特許出願は取り下げられたものとみなされることになる。
また、出願審査請求がされていても、特許庁の審査で拒絶査定(審決)が確定していれば特許権は取得されないことになる。審査で拒絶理由通知が出されている場合でも、審査官の拒絶理由に反論する意見書を提出したり、出願当初の範囲内で内容をやりくりする補正書を提出したりすることで、拒絶理由通知が覆ることもあるので注意が必要だ。そのほか、拒絶査定に対しては上級審である拒絶査定不服審判を請求して争うことができる。従って、特許出願が現在どのようになっているかを正確に把握するため、IPDLで調査したり、特許庁から出願に関する書類を取り寄せたりすることが必要となる。
特許出願(特許権)の内容が、自社が魚の加工機を製造、販売することに支障があるようなものである場合は、A社と話し合いをもち、出願(権利)の一部を譲渡してもらう手もある。例えば、特許権を一部譲渡してもらうことで、自社とA社との共有の権利とすることができれば、自社はA社の承諾を得ることなく、その魚の加工機を製造、販売することが可能となるからだ。
また、先使用権を主張するための資料を収集しておくことも考えるべきである。A社の特許出願の際に、自社がその魚の加工機の実施(製造、販売)または実施の準備をしている場合は、先使用権を主張することが可能だ。従って、A社の特許出願の出願日を確認することが必要である。
どうしても、A社がその特許権によって魚の加工機の製造、販売を阻止しようとするような場合は、特許無効審判を請求することも考えられる。特許を無効にすると、第三者がこの魚の加工機を製造、販売できるようになってしまうので、A社から特許権の一部の移転を請求する手続を行うことが賢明である。
このような問題が生じないように契約書を交わすようにして、この契約書に「特許出願等を行うときは互いに書面によって内容を提示して、承諾を得てからでなければ出願を行うことはできない。」などの条項を入れておくべきである。

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