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2013年09月 アーカイブ

2013年09月10日

「富士山」が世界文化遺産に登録されたので、当社では「富士山」の名称で新商品を発売しようと考えています。「富士山」を商品名として使用しても問題ないでしょうか?山や川などの名称は商品に使用しても問題がないと聞いたことがありますが、「富士山」はこれに該当しないのでしょうか?

「富士山」を商品名として使用すると他人の商標権を侵害するおそれがある。
「富士山」は、第9類「コンピュータプログラム、電気通信機械器具等」、第24類「織物、不織布等」、第26類「テープ、リボン等」、第30類 「食品香料、茶、香辛料等」、第29類「食肉、食用魚介類、肉製品、加工水産物等」、第30類「米、食用粉類等」、第32類「ビール、日本酒、洋酒等」などについて商標登録が認められている。
「富士山」はこれらの指定商品について登録商標として認められているのだから、「富士山」を商品名として使用すると他人の商標権を侵害する場合があることになる。

「富士山」のような山の名称は、指定商品(役務)によって自他商品(役務)識別力が変動するという特殊な面がある。
例えば、商標法上「その商品」の「産地、販売地等」は商標登録が認められないと規定されているため、出願書類に記載する「指定商品」が「富士山」を産地や販売地としそうなものであれば商標登録が認められない。このような場合は誰でも「富士山」を使用して良いということになると判断される。逆に「富士山」が産地や販売地ではないとされる商品であれば商標登録が認められる可能性があり、他人の商標権を侵害する場合がある。
川の名称、例えば「四万十川」は第11類「ガス湯沸かし器、調理台等」、第24類「織物等」、第30類「菓子、パン」、第33類「日本酒、洋酒等」などについて商標登録が認められている。これらの商品が「四万十川」を産地とするものではないので、商標登録が認められたわけだが、指定商品が「うなぎ」である場合は「四万十川」は産地となるので、特許庁の審査で拒絶されると思われる。
従って、山や川などの名称は商品に使用しても問題がないというのは大きな間違いである。山や川などの名称が産地や販売地と考えられるか否か、この判断は専門家でもかなり難しい。他人の商標権を侵害してしまうトラブルを未然に防止するためにも、事前の調査や商標出願をしないまま不用意に商品名に山や川などの名称を使用することは避けた方が賢明である。


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他人が「富士山」を商標登録している場合、「富士山」がつく商標は全てその指定商品について使用することが禁止されるのでしょうか?

いいえ、そんなことはない。「富士山」と非類似の商標であれば、指定商品と同じ商品について使用しても商標権の侵害にはならない。
登録商標と同一または類似商標を指定商品に使用すると商標権侵害となる。類似商標とは、称呼、観念および外観のうち少なくとも一つが似た関係となる商標をいう。
称呼類似とは呼び名が似ていることをいい、例えば「ソニー」と「ソミー」は称呼類似となる。観念類似とは意味が似ていることをいい、例えば「王様」と「キング」は観念類似となる。外観類似とは見た目が似ていることをいい、主として図形商標が似ているか、似ていないかを判断する場合に問題となる。
「富士山」は、「MT.FUJI(マウント フジ)」など観念類似についても問題となる場合もあるが、称呼類似が問題となることが多いと思われる。そこで、富士山を含んでいても「富士山」と非類似となる商標について調べてみた。
「ビール」や「洋酒等」について「富士山」が商標登録されているが、同じ指定商品について「富士山の地」、「富士山赤富士」、「富士山ごうりき」、「富士山徐福」、「富士山自然」、「富士山ご来光ビール」、「富士山の金山」、「富士山埋蔵金」などが登録されている。これらの商標と「富士山」は特許庁の審査で非類似とされたので、商標登録が認められたのである。このように、「富士山」に言葉を加えて、縁起の良い名称をつくり、これを商標登録するのも一つの手ではないかと思う。
なお、商標が同一、類似でも商品が非類似であれば商標権侵害にはならない。商品が類似するかどうかは販売場所などを勘案して判断されるが、例えば、菓子の「ケーキ」と「クッキー」は類似であると判断され、「ケーキ」と「鉛筆」は非類似であると判断される。


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