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2014年11月 アーカイブ

2014年11月17日

自社で新商品を発売することになり、この新商品に斬新な名称を付けようと思っています。この商品名を付けるに当たって法的な問題が生じる可能性があるのでしょうか?

(1)商品名の使用が他人の商標権を侵害する行為に当たる可能性がある。すなわち、その商品名が他人の登録商標と同一または類似で、使用する商品が指定商品と同一または類似する場合には、他人の商標権を侵害することになる。
(2)例えば、商品名が「○○○」で、使用する商品が「クッキー」である場合に、他人の登録商標が商品名と同一の「○○○」または類似の「○○△」で指定商品(商標権が取得されている商品)が「クッキー」である場合は商標権侵害であると考えられる。また、指定商品が「クッキー」ではなく「菓子」と記載されている場合も商標権の侵害であると考えられる。「菓子」には「クッキー」のほか、「ケーキ」、「チョコレート」などの洋菓子、更に「饅頭」、「羊かん」などの和菓子も含まれている。すなわち、「ケーキ」、「チョコレート」、「饅頭」、「羊かん」は互いに類似する商品であると類似商品・役務審査基準において推定されている。商品名が登録商標と類似する「○○△」である場合も商標権侵害に該当すると判断される。
(3)商品名が登録商標と非類似の「×××」である場合は商標権侵害にはならない。
指定商品が「文房具」である場合、登録商標が「○○○」または「○○△」であっても商標権の侵害にはならない。商品が非類似だからだ。
 商標が自社商品と他人の商品とを識別するための標識であることから、商品を買いに行った顧客が商品を間違って購入してしまいそうな範囲に商標権の効力が及ぶようにしている。簡単に言えば、商標が全く異なる「○○○」と「×××」が「クッキー」に付されて売り場に並べられていても間違って買ってしまうことはないし、商標「○○○」が「クッキー」に付されて売られており、同じ商標「○○○」が文房具である「ノート」に付されて売られていても、「クッキー」と「ノート」を間違って買ってしまうことはないので、商品が非類似であれば商標権侵害にはならない。
(4)従って、商品名が、①商標同一・商品同一 ②商標同一・商品類似 ③商標類似・商品類似の場合に他人の商標権侵害に該当すると判断される。
 商標類似には、称呼類似(発音が似ている)例えば「ソニー」と「ソミー」、観念類似(意味が同じ)例えば「王様」と「KING」、外観類似(主に図形商標が対象で見間違える程よく似ている図形)の三態様がある。
 商品類似は商品の販売場所が同じであるかなどを考慮して決められる。例えば、「クッキー」と「チョコレート」はスーパーマーケットなどの菓子売り場に並べて売られているので、互いに類似する商品となる。
(5)商標権侵害に該当しなくても、例えば有名なファッションブランドと同じ名称を「クッキー」の商品名にした場合は他人の信用にただ乗りしようとしていると判断され、不正競争防止法違反になるおそれがあるので注意が必要だ。

 従って、新商品の商品名については他人の商標権を調査して、自社が商標権を取得すべきである。

他社が開放している特許権を利用して自社製品を製造しようと考えていますが、その場合の注意点を教えてください。

(1)他人の特許権を利用するためには自社が合法的に特許発明を実施することができるようにする必要がある。すなわち、特許権者に実施権を許諾してもらうか、特許権を譲渡してもらうかである。
(2)実施権の許諾について説明する。実施権とは特許権者から契約で定めた範囲で特許発明の実施が認められた権利で、専用実施権と通常実施権がある。
 ①専用実施権は設定された範囲においては専用実施権者が特許発明の実施を独占的に行うことができる権利であり、この範囲では特許権者といえども特許発明の実施が制限されることになる。例えば、契約日から3年間、静岡県内において、特許製品を製造・販売することを内容として専用実施権を設定した場合、この範囲においては特許権者といえども特許発明の実施が制限されることになる。
 ②通常実施権は専用実施権と異なり、特許権者の特許発明の実施が制限されない。従って、通常実施権を設定した範囲でも、特許権者が特許発明を実施することが可能である。

(3)特許権は有償、無償を問わず譲渡することが可能である。ただし、特許権の譲渡は特許原簿に登録されることが効力発生要件となるので、特許庁に対する手続が必要である。この手続には譲渡証などを添付する。

(4)注意点
 ①上記実施権の許諾、特許権の譲渡に先だって、製造しようとしている製品が当該特許権の権利範囲に入っているかを検討、確認する必要がある。そもそも特許権の範囲外であれば譲渡も実施権の許諾も必要ないからである。これは専門家に相談する必要がある。
 ②特許製品を自社の技術で製造できるのか等、ビジネスとして成り立つか否かを検討する必要がある。
 例えば、中小企業が大企業の特許権について譲渡等を受けても、ノウハウが無くては製造できない製品では本末転倒である。製造できたとしても数が少ない場合などコストが高くついて買い手がないこともある。また、製品を造っても販売ルートが無くてはビジネスにならないので、自社で販売可能な製品であるか否かについてもよく考える必要がある。
 当たり前のことであるが特許権を譲渡してもらっただけで利益が上がるわけではないので、専門家に相談しながらビジネスとして成り立ち得るかを事前によく検討すべきだ。

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